ポリスラインを翔びこえて
*
ホムラマコトを逃してやったことは墓場まで持っていくつもりだ。
…ただ一人を除いては。
「まこちゃん、仕事中に行方不明になったって聞いたよ」
抗争の翌日。
仕事から帰って自室のパソコンで調べものをしていたときのこと。
セイ兄が部屋に来て早々口を開いたのがそれ。
「さすが公安一課、情報が早いのね」
「ごまかさないで。あの現場で何が起こったか教えて」
「……本当は知ってるんでしょ、セイ兄」
カタカタとタイプしながらノールックで答えると、セイ兄の空気が少し揺らいだ気がした。
「どうしてそう思う?」
「女の勘よ」
「はあ……ふざけないでまこちゃん」
「セイ兄こそしらばっくれるのやめな?」
「証拠は?」
「ない。女の勘だってば」
「危険な真似はしないでって言ってるんだよ、どうしてわからない?」
「私は怖くて逃げたのよ、どうして危険な真似をしたって知ったように言うの?」
「っ、それは…」
マル暴刑事なめんな、私だって1年やってきていつまでも新人じゃないんだ。