意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
「で? プロデューサーさん、なんで彼がここに? 今回の番組と関係ないっすよね」

「ああ、そうそう。打ち合わせで呼んだんだよ。実は俺の新番組が始まるんだ。そこでナレーションを那原くんにやってもらうんだよ。ちなみにMCは」


及川は田沼を指さした。


「キミ、田沼くんにやってもらいたいと思ってる」

「マジすか!?」


田沼は跳ねるように椅子から立ち上がった。

その拍子に椅子が倒れる。


「ああ、事務所には既に許可をもらっている」

「ありがとうございます! ありがとうございます!」


田沼はそう言って及川の手を取りぎゅうぎゅう両手で握った。


「喜んでくれて嬉しいよ」

「そりゃぁ喜びますよ! MCっすよ!?」

「まあ詳しくはこれからで、今日は2人を会わせたいって意味もあったんだ」


すると田沼は那原に手を差し出した。こちらは片手だ。


「那原さん、よろしくお願いします!」


那原はおしぼりで手を拭いてから田沼の握手を受け入れた。


「こちらこそ」


田沼の手はすぐに離れて、そのままガッツポーズをした。


「とりあえず食事を済ませた後、コーヒーでも飲みながらここで軽く打ち合わせをしよう」

「はい!」


田沼は元気よく挨拶した後、後ろに倒れた椅子を戻し食後のコーヒーに大量のミルクと砂糖を入れていた。
< 15 / 19 >

この作品をシェア

pagetop