意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
会議室には、すでに何人ものスタッフと声優が集まっていた。

壁際には長机が並べられ、その上には台本と資料、人数分の飲み物が用意されている。

那原は少し離れた席に腰を下ろした。

向かいでは、黒瀬がプロデューサーと話をしている。


「今回のアニメ化は、かなり期待されていますからね」

「そうだな。原作ゲームのファンも多い」

「黒瀬さんには、ぜひ作品を引っ張っていただきたいと思っています」


黒瀬は腕を組み、満足そうに頷いていた。

その隣では東雲リクがスタッフと話をしている。

『愛している…君を』の人気キャラクター、キリアンを演じる声優だ。

原作ゲームのキャラクターではかなりの人気を誇り、その声優人気でも東雲が一番だと言われている。

東雲は音響監督と話していた。


「東雲さん、今回のキリアンもかなり期待されています」

「ありがとうございます。キリアンは僕自身も好きなキャラクターなので、頑張りますよ」


爽やかに、そう言って東雲は周囲に笑顔を振りまいた。

少し離れたところでは茜が那原の隣の席に座っている。


「那原くん、今日終わったらご飯行かない?」

「今日はやめておきます」

「また?」

「予定があるので」

「じゃあ明日は?」

「明日も予定があります」

「じゃあ、いつなら空いてるの?」

「しばらく予定が詰まってます」


茜が頬を膨らませる。


「那原くんって、ほんと付き合い悪いよね」

「そうですか?」

「そうだよ」


那原は笑って台本に視線を落とした。
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