意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい

6章

午後7時を過ぎると、ライブラリー室には私、1人しかいなくなっていた。

昼間は人の出入りが多いこの部屋も、今はパソコンの駆動音と、空調の低い音だけが響いている。

最近は残業続きだ。

年末になるにつれて、特番が多く過去素材を探すために忙しくなっていく。

私は画面に表示された資料を確認しながら、1つずつファイルを整理していた。

今日中に終わらせなければならない仕事が、まだ残っている。


「……あと少し」


小さく呟いて、マウスを動かす。

けれど、集中できない。

廊下から、誰かの足音が聞こえるたびに、手が止まってしまう。

コツ、コツ、と近づいてくる足音。

思わず顔を上げる。

けれど扉の前を通り過ぎていく。


「……」


私は小さく息を吐いた。

何をしているんだろう。

もう会うことなんて、そうそうないはずなのに。

それでも、あの人がいつ入ってくるかわからないと思うと、どうしても落ち着かなかった。

私は時計を見る。


「早く終わらせよう……」


そう呟いて再び画面に向き直った。
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