『ちゃんと愛してたのに』
8 ◇悪手を打つ
柳田くんも若かった。
きっと私に疑われたままでしんどかったのだろうと思う。
私は一番してはいけない悪手を打った。
何も言わず、突然彼のことを無視するようになったのだ。
彼は当然、困惑の表情を浮かべおそるおそる『どうかしたの?』と
訊いてきた。
私はただ「もうこれ以上話をしたくない」という一言だけを残し、無視をしている理由すら
告げずに彼を切り捨てた。
そんな一方的にむくれるだけの私に対してその後、彼は何も言わず口を閉ざしたまま
卒業していったのだった。
彼が言い寄っていた同級生との間で、私が疑うようなことは何もなかった
──ということは、卒業式の日に知った。
これで大切な思い出の校舎ともお別れだと思うと切なくて、グルグル
あちこち教室を回っていた時のこと。
教室や職員室の様子とか、あと草花とか匂いとか忘れないようにと、校庭に出て
散策していて……。
偶然出くわし、知った真実があった。
私にいろいろ嘘八百を、彼に言い寄っていた同級生が、まるで真実のように仲間と
グルになって話していたこと……。
それを彼女が校舎の裏で、グループの女子たちと面白おかしく話ししているのを
これもほんとにたまたまなんだけど、聞いてしまったのだ。
私に勇気があったら……
もう少し自信があったら……
柳田くんに確認くらいできたはずだ。
私は自分の愚かさを呪った。
すぐにでも彼の家に行くなり、電話をするなりしてちゃんと謝らなきゃって
思ったけれど、弱さからそれもできず、結局は遠い過去にして忘れた振りをして
生きてきたのだ。
それなのに、久しぶりだからと彼は声をかけてくれた。
これは謝罪をするチャンスを神様が与えてくれたのだと思った。
柳田くんも若かった。
きっと私に疑われたままでしんどかったのだろうと思う。
私は一番してはいけない悪手を打った。
何も言わず、突然彼のことを無視するようになったのだ。
彼は当然、困惑の表情を浮かべおそるおそる『どうかしたの?』と
訊いてきた。
私はただ「もうこれ以上話をしたくない」という一言だけを残し、無視をしている理由すら
告げずに彼を切り捨てた。
そんな一方的にむくれるだけの私に対してその後、彼は何も言わず口を閉ざしたまま
卒業していったのだった。
彼が言い寄っていた同級生との間で、私が疑うようなことは何もなかった
──ということは、卒業式の日に知った。
これで大切な思い出の校舎ともお別れだと思うと切なくて、グルグル
あちこち教室を回っていた時のこと。
教室や職員室の様子とか、あと草花とか匂いとか忘れないようにと、校庭に出て
散策していて……。
偶然出くわし、知った真実があった。
私にいろいろ嘘八百を、彼に言い寄っていた同級生が、まるで真実のように仲間と
グルになって話していたこと……。
それを彼女が校舎の裏で、グループの女子たちと面白おかしく話ししているのを
これもほんとにたまたまなんだけど、聞いてしまったのだ。
私に勇気があったら……
もう少し自信があったら……
柳田くんに確認くらいできたはずだ。
私は自分の愚かさを呪った。
すぐにでも彼の家に行くなり、電話をするなりしてちゃんと謝らなきゃって
思ったけれど、弱さからそれもできず、結局は遠い過去にして忘れた振りをして
生きてきたのだ。
それなのに、久しぶりだからと彼は声をかけてくれた。
これは謝罪をするチャンスを神様が与えてくれたのだと思った。