『ちゃんと愛してたのに』
9 ◇親孝行はしておくものだな
スーパーのある敷地に併設されているレストランに、足を向けた柳田くんの
背中に話しかけた。
「柳田くん、あの時はごめんなさい。酷い態度をとってごめんなさい」
「謝ってくれるんだ。驚いたよ。実は最初声を掛けた時もドキドキだったんだ。
もしかしたら、また昔のように無視されるんじゃないかとね」
「ごめん。あなたを傷付けたこと──今更許されることじゃないけど、それでもごめんなさい」
「じゃあさ、今日のお茶代、奢りな? さ、行こう」
「席について注文が済むと、私は当時の自分の過ちを改めて詫びた。
そして、掻い摘んで理由を話した」
「あの頃、宗方がよく俺の席に来ていろいろ話し掛けてきてはいたけど、
そんなことになっていたなんて……」
「……」
「真理恵に無視されるようになってから、もしかして彼女とのことで何か疑われていたのかも?
って考えたこともあったんだ。ほんとはね。
だけど、責める言葉もなく突然だっただろ? 何か、確認するのも怖かったかな。
あれから何度かあの時のことを振り返ることがあって、考えた。
俺も言葉が足りてなかったかもって。一言話しておけばよかったのかなって。」
「一言?」
「うん。何故かやたらと話し掛けられてグイグイこられてるけど、自分の気持ちは少しも彼女には
向いてないってことを真理恵に話しておけばよかったなって。
心の中ではね、俺の中心は真理恵で──俺が付き合っているのは真理恵なんだから、改めて
話さなくても真理恵にはわかってるよねって、わざわざ話さなくてもって思ってた」
「そうよね。何で柳田くんに確認も取らずにあんな態度をしたんだろうって、私、ずっと後悔してた。
思い違いだったってわかったあと、すぐに謝らなきゃって思ったのに、それもできなかったの」
「ほんとっ、よかったよ。今日ここで会えてさ。
実はお袋に頼まれてここまで遠出したんだけど、親孝行はしとくもんだな。
ははっ」
「それっ、私も似た感じかも。母親からパスタとかグラタン食べたいっていうリクエストが
あって、それ用の食材を見に来てたから」
スーパーのある敷地に併設されているレストランに、足を向けた柳田くんの
背中に話しかけた。
「柳田くん、あの時はごめんなさい。酷い態度をとってごめんなさい」
「謝ってくれるんだ。驚いたよ。実は最初声を掛けた時もドキドキだったんだ。
もしかしたら、また昔のように無視されるんじゃないかとね」
「ごめん。あなたを傷付けたこと──今更許されることじゃないけど、それでもごめんなさい」
「じゃあさ、今日のお茶代、奢りな? さ、行こう」
「席について注文が済むと、私は当時の自分の過ちを改めて詫びた。
そして、掻い摘んで理由を話した」
「あの頃、宗方がよく俺の席に来ていろいろ話し掛けてきてはいたけど、
そんなことになっていたなんて……」
「……」
「真理恵に無視されるようになってから、もしかして彼女とのことで何か疑われていたのかも?
って考えたこともあったんだ。ほんとはね。
だけど、責める言葉もなく突然だっただろ? 何か、確認するのも怖かったかな。
あれから何度かあの時のことを振り返ることがあって、考えた。
俺も言葉が足りてなかったかもって。一言話しておけばよかったのかなって。」
「一言?」
「うん。何故かやたらと話し掛けられてグイグイこられてるけど、自分の気持ちは少しも彼女には
向いてないってことを真理恵に話しておけばよかったなって。
心の中ではね、俺の中心は真理恵で──俺が付き合っているのは真理恵なんだから、改めて
話さなくても真理恵にはわかってるよねって、わざわざ話さなくてもって思ってた」
「そうよね。何で柳田くんに確認も取らずにあんな態度をしたんだろうって、私、ずっと後悔してた。
思い違いだったってわかったあと、すぐに謝らなきゃって思ったのに、それもできなかったの」
「ほんとっ、よかったよ。今日ここで会えてさ。
実はお袋に頼まれてここまで遠出したんだけど、親孝行はしとくもんだな。
ははっ」
「それっ、私も似た感じかも。母親からパスタとかグラタン食べたいっていうリクエストが
あって、それ用の食材を見に来てたから」


