さとう、なのにしお!

第一話 初めての場所

小鳥が鳴く。
満開の桜が空を舞う。
街のあちこちで門出を祝う声がする。

――花宮渚も、その門出を祝われる一人だった。

私、花宮渚は、今年四月にここ、月丘町に親の転勤で引っ越してきた。
前に通っていた、私立の幼稚園から大学までエスカレーター式に登れるはずだった学校を小学校で中退して、
家から電車で一時間の星乃丘学園中学校に通うことになっている。

知り合いはいないけど、友達できるかなぁ・・・と、街路樹の美しい小道を、不安になりながら歩いていた。

初めての登校。初めての駅。初めての電車。
間違えないように、迷わないように、慎重に歩いていた。

(こっちであってるよな・・・?)
そう、ふと周りを見渡したときだった。
―――10メートル先くらいに、星乃丘学園中学校の制服をまとった男子がいた。
端整な顔立ちで、涼しげな目元。
身長は見た限りでも180センチはあるのではないかと思う。
彼は、ただただスマホを見ているだけなのに、周りにはたくさんの小鳥が集まっている。
このあたりに住んでいるのかな・・・?
きっと、背も高いし3年生くらいなんだろうな。
どこかで挨拶をしておこう。
そう思いながら、初めて乗る私鉄に乗り込んだ。
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