触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
大人びた君の目を見られない
十五歳の、誕生日。
照りつけるような日差しの中を歩き、電車に乗って到着した昼前の東京駅。
構内は、夏休み特有の大きな荷物を持った旅行客たちの熱気と喧騒で溢れ返っている。
行き交う人波の向こう側に、視線を漂わせていると。
やがて――雑踏の中、周囲より頭ひとつ分抜きん出ている姿を見つけた。
航だ。
彼もこちらに気づき、微かにその目元を和らげる。
あの街から、鈍行で四時間以上かけて来てくれた。
小気味よい電子音を鳴らして改札を抜け、まっすぐに私の目の前までやってきた。
「…………」
「…………」
一年ぶりの再会。
お互いに言葉を探すような空白が落ちる。
やがて、航が先に口を開いた。
「……誕生日、おめでとう」
その響きに、心がじんわりと温められていく。
「……ありがとう」