触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
これらの言葉から、航からの不器用な『好き』を感じ取ってしまうのは、自惚れなのだろうか。
見返すたび、たまらず便箋を胸元に抱き寄せる。
報われない片思いにすっかり慣れきった私は、こんなふうに解釈の余地がある甘い言葉だけで、満たされてしまっていた。
けれど――。
もし本当に、彼も私を『好き』だと思ってくれているのだとしたら。
こんなに長い間、何も告げずに平気でいられるものなのだろうか。
私なんて、返事を書くたび『本当はまだ大好きだよ』と、うっかりペンを滑らせてしまいそうになるくらいなのに。
そんなふうに考えると、心がまた曇る。
「…………」
便箋を箱へ丁寧に戻し、今度こそ寝ようと布団に飛び込む。
寝返りを打ちながら、先月からずっと悩み続けている『航が東京に来てくれたときの行き先』を頭の中で巡らせる。
一緒に行きたいところなんて、ありすぎてとても決められないのだ。
尽きない悩みはありつつも、結局は、ただ彼に会えるだけで、こんなにも嬉しい。
暗闇の中、自然と口元が緩んでしまいながら、夢の中へと旅立った。
そして――中学最後の夏を迎える。