触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
目の前に広がる真っ青な水平線と、少しだけ西へ傾き始めた夕方四時半の空。
ビーチの営業時間は過ぎたものの、名残惜しそうに遊び続けるグループが何組もいる。
砂浜に腰を下ろし、数メートル先の波打ち際ではしゃぐ七海の姿を見守っていた。
猛暑日で小学校のプールが中止になってしまい、体力が有り余っている七海。
弟夫婦が揃って夏風邪で寝込んでいるため、俺は朝からずっとフロントに立っていた。
しかし、退屈そうな彼女を見かねて一時的に両親に宿を任せ、こうしてビーチへ連れ出したのだ。
「みてーっ! シーグラスみつけたー!」
太陽のような弾ける笑顔で駆け寄ってきた。
その小さな手の中には、波に揉まれて丸くなったイエローのシーグラスが握られている。
「おー、レアなやつだ」
「そうなの?」
「うん。青、緑、茶色が多いから」
元となる空き瓶がその色ばかりだからだ。
「おうちにもどったら、みんなにみせるー!」
七海は西日の差す空にかざしながら、嬉しそうに目を細めた。