触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
「うみ、すき?」
「好きだよ」
「うみのちかくにすめて、うれしい?」
「嬉しいよ」
昔は、そばにあって当然の日常だった、この街も宿も。
夏帆が愛してくれたからこそ、俺にとっても守りたい場所になった。
七海は、砂に猫の絵を描きながら「じゃあ〜」と考えたあと、言った。
「いま、しあわせ?」
波音が、響く。
「幸せ、だよ」
静かに返しながら、高校時代、同じような問いかけをされたことを思い出した。
『航って……今、幸せなの?』
『いつも寂しそうに見えるよ……?』
遠距離恋愛の痛いところを突き、手を伸ばされたときのことを――。