触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

「うみ、すき?」

「好きだよ」

「うみのちかくにすめて、うれしい?」

「嬉しいよ」

 昔は、そばにあって当然の日常だった、この街も宿も。
 夏帆が愛してくれたからこそ、俺にとっても守りたい場所になった。

 七海は、砂に猫の絵を描きながら「じゃあ〜」と考えたあと、言った。


「いま、しあわせ?」


 波音が、響く。


「幸せ、だよ」


 静かに返しながら、高校時代、同じような問いかけをされたことを思い出した。

『航って……今、幸せなの?』
『いつも寂しそうに見えるよ……?』

 遠距離恋愛の痛いところを突き、手を伸ばされたときのことを――。
< 119 / 242 >

この作品をシェア

pagetop