触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
「ななみもねー、しあわせ。パパもママも、かぞくみんなだいすき」
にっこりと笑う七海の声で我に返り、微笑み返した。
しかし、彼女はすぐに「でも、ひとつだけ『フマン』があるの」と小さな唇を尖らせる。
「なに?」
「なつやすみだから、ジュンくんにあえないこと」
「だれ? 『ジュンくん』」
「……すきなひと」
七海に目をやると、日焼けした頬を赤らめながら俯いていた。
そのいじらしさに、思わず「ああ」と笑みがこぼれてしまう。
「好きな人には、毎日会いたいよな」
同意を込めてそう言ってやると、七海はパチリと瞬きして、俺をじっと見つめてきた。
「……ねえ。それってさ……」
そのあと投げかけられた、鋭い問いかけ。
俺はそれを、波が砂浜を打ち据える音にかき消され聞こえなかった、というふりをした。