触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 カップをコトッ、と置き、話し始める。

「……私ね。この街に初めて来たとき、実はあんまり乗り気じゃなかったんだよね。海、得意じゃなかったから」

 本当は他に行きたい場所があったけれど、自分の希望をうまく伝えられなかった結果、ここへ来たのだ。

「え、そうなの」

「でも、ここで海の綺麗さも、楽しさも知って。航にも……出会えて」

 少し気恥ずかしくなって、手元へ視線を落とす。

「今はまだ、どんな大学や仕事が自分に合うのか、何もわからない。でも、大人の言うまま選択肢を広げておいた先に、夢中になれるものに出会えるかもしれないなって」

「…………」

「結局、私……航との出来事から影響受けてるんだよね」

 照れ臭くなってしまい、意味もなくカップの向きをくるくると変える。
 航は「へえ……」と小さく呟いていた。
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