触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
「……航はっ? やっぱり、宿を継ぐんだよね?」
話を振ると、航はレモンティーに口を付けながら頷いた。
「俺は……物心ついたときからそう言われてきたし、海もまあ、好きだし。他にやりたいことも……特にないし。そうなるんだろうな」
そう話す横顔は、少し遠くを見ているようだった。
「……うん。この街も海も、航の宿も、全部素敵だもん。私も、大好きだよ」
綺麗な海のみならず、様々な歴史もあって、多面的な魅力を持つ街だ。
「…………」
ティーカップを持ったまま、窓の外の川面をしばらく眺めていた航は、口を開いた。
「じゃあ……ずっとここにいたらいいのに」
「……!?」
思わず、肩が揺れた。
深い意味はないと自分に言い聞かせても、頬は熱を持たずにはいられなかった。