触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

「ハイ……」

「今年の冬、俺の誕生日の前後とかで……東京に行ってもいい?」

「えっ、うん。もちろん……ありがとう」

 会えるのなら、いつだってどこだって嬉しいけれど。
 やっぱり彼の特別な日は、直接お祝いを伝えたい。

「そのとき……二人きりで、過ごしたいんだけど……」

「…………」

「意味……伝わる?」

 慎重に紡がれる言葉と、向けられた熱を帯びた瞳。
 その『意味』は――すぐにわかった。

 背中に感じるベッドの柔らかさと、航の腕の強さ。
 それらは私の心拍を上げていく一方で、絶対的な安心感も与えてくれる。

 だから、こわくはない。

 見つめ返したまま、私は頷いた。

 嵐から逃れたこの小さな部屋で。
 私たちは、冬の約束を静かに交わしたのだった。
< 163 / 242 >

この作品をシェア

pagetop