触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「夏帆」
夕食と入浴を終え、そそくさと自室へ向かおうとする私を、母が呼び止めた。
「もうすぐ期末なんだから、航くんとの電話もほどほどにしなさいよ?」
ソファでは、パジャマ姿の湊人が不思議そうな瞳でこちらを見上げている。
その隣で、スマートフォンをいじっている凪沙は、横目でちらりとこちらを観察していた。
「……うん。わかってるよ?」
「前回の中間も、点数下がってたでしょう」
「それは、私自身の問題で……航は関係ないよ。電話の時間だって、ちゃんと守ってるし……」
航とは毎晩電話しているが、長くても三十分までと課している。
勉強の時間を削らないため。
そして、こうして口を出されないためだ。
「まあ、それならいいんだけど。節度をもって付き合いなさいよ?」
「……わかってる。おやすみっ」
言い捨てるように告げて、自室の扉を閉めた。