触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「ちょっと……え!? なんで私の電話、勝手に出てるの!?」
隣で悪びれもせずに立っている小宮山に詰め寄った。
「えー? だってずっとブーブー鳴っててさ。緊急の用事かなって、親切心で出てやったんだよ」
「そうだとしても、他人の電話に出るなんておかしいでしょ!?」
本気で睨みつける私など意に介さない彼は「じゃ、提出よろしく〜」と手をひらひらさせながら、帰ってしまった。
「……どうしよう」
一人になり、温度を失ったスマホを両手でぎゅっと握りしめる。
航に、変な誤解をさせていないだろうか。
さっきの、どこかよそよそしい声。
ただでさえ、遠距離で寂しい思いをさせているのに。
少しも不安にさせたくないのに――。
夜、電話できちんと事情を説明すれば、わかってくれるだろうか。
早く、話したい。
保健室へプリントを提出し、そのまま向かった予備校の授業中も。
心はずっと宙に浮いたままで、黒板の文字は少しも頭に入ってこなかった。