触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

 唇の隙間から、尋ねる。

「航……どうかした……?」

「……え? あ、いや……」

 ハッとした航は、言葉を濁した。

 男の子だって、緊張するだろう。
 そう思ったけれど――。

 やけに胸騒ぎをおぼえながら、声をかけた。

「……何でも、言ってね」

「…………」

 少しの沈黙のあと、航は上体を起こした。
 それを追うように、私も起き上がる。

「……あのさ」

 視線が合わないまま、航が絞り出す。

「夏帆は、葉月が俺のことを好きなんじゃないかって、言ってたじゃん」

 どうして、彼女の名前が出てくるのだろう。

「俺、ないって言ったけどさ……」

 航は、一度吐いた息を吸い込んだあと、言った。


「今朝、『好き』って、言われて」


 さっきまで航でいっぱいだった心が、真っ白に染め上げられた。
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