触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

「…………」
「…………」

 家族が帰ってくるのは、四時間後。
 決して、十分な時間があるわけではない。

 けれど、それまでは誰の目も気にせず、二人きりでいられる。

 さっきから鼓動は、休むことなく鳴り響いているけれど。
 いよいよ尋常じゃないスピードになっていく。

 思わず俯いてしまうと、問いかけられた。

「あのさ……無理、してない?」

「……ううん、ごめん。恥ずかしいだけ」

 熱い頬を感じながら、喉の震えを懸命に抑えて答える。

 顔を上げた。
 航も、いつもよりは少しだけ緊張しているかもしれない。

 目が合うと、静かなキスをしてくれた。
 そしてゆっくりと、ベッドへと沈んでいく。

 いつも一人で眠っている場所に、今、航といる。

 このまま、始まるのだろうか。

 不安や緊張はもちろんあるけれど、それ以上に――。
 遠距離だからこそ、少しも隙間をつくりたくない。
 航で私を、航を私で満たしたい。

 私の髪から頬へと、大きな手のひらが滑っていく。
 その優しすぎる感触に、胸の奥が震える。

 でも。

 至近距離にある瞳が、ほんの少しだけ揺れていることに気づいた。
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