触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
 ◇

 それから私たちは、別々の場所で季節を重ねていった。

 私は、東京の大学へ。
 航は宿を継ぐため、地元から通える専門学校へと進んだ。

 どうしようもない距離が、二人の心まで隔てそうになる夜。
 私は、明るい色や柄の便箋を選び、手紙を書いた。

 そばにいられないことに苦しむのは、いつも私より航のほうだった。
 それでも、航を諦めることができなかった。
 遠く離れていても、絶対に航がいいのだと――不器用な文字で、何度も伝え続けた。

 遠距離を続けながら、大学生活もあっという間に過ぎていった。
 ひたむきに机に向かい続けてきた甲斐もあり、私は東京の大きな企業に就職した。

 航もすでに実家の宿に入り、ご両親とともに慌ただしい日々を送っていた。

 大人になり、新幹線の切符はためらうことなく買えるようになったというのに。
 今度は圧倒的に、時間が足りない。
 互いの生活に追われ、会える頻度は、学生の頃よりもずっと少なくなっていった。


 そして、私が二十三歳を迎える夏。
 航にあることを伝えるため、久しぶりにあの海辺の街を訪れた。

 初めて誕生日を祝ってもらったときのシーグラスを、手のひらに握りしめながら――。
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