触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

「…………えっ?」

 思わず、口元が緩んでしまうけれど。
 そんな私とは対照的に、航はどこか切なげに微笑んでいた。


『――電車が到着いたします。お下がりください』

 アナウンスのあと、強い風とともに到着した車両が、大好きな彼をあの海辺の街へと連れていく。

 笑顔で手を振り、見送った。

 いつか、お互いがお互いの帰る場所になりたい。
 そのために、大人になるために、頑張りたい。

 頑張れるよね――?

 今日、航がくれたたくさんの宝物を逃さないように。
 胸元でそっと、冬の乾いた空気を抱きしめた。
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