触れられなくても、君がいい。
中学二年の夏を迎えた。
十四歳、最後の日。
今年もまた、あの海の街――航がいる場所へと向かっている。
航のご両親が営むホテルに、二泊三日するのだ。
けれど、一年前の往路とは、抱えている気持ちがまったく異なっていた。
「夏帆ちゃん、嬉しそ〜」
「……え!?」
平静を装っていたつもりだったのに。
後部座席に座る凪沙から、からかうように指摘された。
去年と同じく、私の誕生日祝いも兼ねた家族旅行。
海を好む両親が、あの宿をすっかり気に入ったということもあるけれど、今回は私からの強い希望もあった。
両親は、珍しく何かをねだる私に驚きつつも、ニヤニヤと笑っていた。
家族には、航とのことを『すでに告白して振られている』などの詳細までは話していないものの。
私の想い自体は、すっかりバレてしまっているのだった。