触れられなくても、君がいい。
一年ぶりに、会える。
けれど、浮つく気持ちを必死に鎮めようとしていた。
その理由はシンプルに、『振ったのにしつこい』と思われたくない、というのもあるけれど。
それ以上に――私はちょっぴり、航のことを警戒しているのだ。
彼は、私が伝えた想いには『ごめん』と返したのにもかかわらず。
夏が近づくにつれ、手紙の中でこんな言葉たちを投げてくるようになった。
『今年は、来られる?』
『誕生日プレゼント、いる?』
それらは、恋する乙女が勘違いしてしまいそうなものばかりだ。
もしかすると航は、無自覚な『タラシ』なのかもしれない――。
あるいは、一年間文通が続いたことで、友達として心を開いてくれただけかもしれないけれど。
いずれにせよ、面と向かってあんな言葉をかけられたら、困ってしまう。
まるで引き波に足をすくわれるように、うっかりこれ以上好きになんてなりたくない。