触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
『整理できたら……伝えるから』
航の宿を出る直前、彼から静かにそう告げられ、おとなしく待つことにした私。
あれからなんと――五か月。
東京は、肌を刺激するような乾いた風が吹く十二月を迎えていた。
それなのに、いまだに彼の『整理した気持ち』は、聞かされていない。
まさかこんなに待たされるとは思わず、もどかしくて仕方がない。
こちらから急かしてもいいくらい、十分すぎる時間は経っている。
けれど――。
自分から聞くのが、こわい。
結局は、これに尽きる。
一度はっきり振られている身としては、踏み込んだことで今の関係が壊れてしまうことを恐れてしまうのだ。
相談した友達からも、呆れたように言われる。
『ハグもキスもしておいて、「好き」とは言わないって、ちょっとズルくない?』
『夏帆のこと、キープしたいとか?』
『そういう触れ合いに、興味があっただけとか?』
みんな、話を聞く限りでは誠実さに欠けるような航に対し、私の代わりに真剣に腹を立ててくれている。
しかし、恋する乙女というのは、こういうとき実に面倒くさい生き物で。
好きな人を悪く言われたくない反発心と、彼にとって自分が本当に「都合のいい存在」かもしれないという不安。
その両方から目を逸らしたくて、的確な指摘もすんなりとは受け入れられないのだった。