触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 冬休みを目前に控えた、平日の夕方。
 部活から帰ってきて自室の机に向かい、冬期講習の事前課題を黙々と進めていた。

 ふと、傍らに置いていたスマートフォンが震えた。

 その画面には――『公衆電話』の文字。

 心臓が跳ねる。
 慌ててスマートフォンを持ち上げ、通話ボタンをタップした。

「……っ、はい!」

『……俺』

 その奥から、微かな波音が聞こえた気がした。

 思わず前のめりになって、声を張る。


「誕生日……おめでとう!」


 私の食い気味のお祝いに、航は『まだ、名前言ってないけど……』と小さく笑ってから、言った。

『……ありがとう』

 そう。彼は、今日で十四歳になった。

 去年は数日遅れの手紙でしかお祝いできなかったけれど、今年はこうして口で伝えることができた。
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