恋を知らないきみへ

2 選ばれる理由

月曜の朝は、みんな少しだけ浮ついた気持ちで出勤していると思う。

家族サービスに勤しんだと思われる中堅の男性社員が大きなあくびをしていたり、逆にリフレッシュしたような明るい声で朝から取引先と電話をしている若い女性社員。

仕事は一服してから、というようなのんびりした表情でイスにもたれてコーヒーを飲んでいる面々。

十人十色の、週明け。


私は土曜日に結局、一センチだけ髪を切った。
本当にただちょっと揃えた程度。前髪も切ったけれど、まあたぶん、誰も気づかないレベル。

夏だし染めてもいいかな、なんて思ったけど。
それも侑樹さんに「黒髪のままが好き」と言われたからやめておいた。

彼の好みになりたいとかじゃない。
ただなんとなく、自分に似合う髪型もよく分からないから、無難にそうしただけ。


毎度変わり映えのないデスクからの眺めを横目に、パソコンの電源を入れる。

頭の中で、先週のことを思い出す。


『若年層ファミリー向けに新ブランドを立ち上げる』

『まずは"今の二十代後半から三十代前半が、家に何を求めてるか"を調べてほしい』

───そうなってくると営業側で引き出したいのは、お客様の気持ち。


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