偽りの姫の手に堕ちた元姫は、最強男子達に寵愛される。
その日のお昼──

「どうぞっ」

「いつもありがとうな。」

微笑んでお弁当袋を受け取ってくれる陽

「ううんっ
こちらこそ、美味しく食べてもらえて嬉しいからっ」

「そうか。」

その笑顔が照れくさそうなのは、仲良くなれて初めて見た姿だった。




「お待たせ、駆くんっ
って…あれ、神楽くん?」

陽にお弁当を届け、いつものように食堂へ戻ると見覚えのある人が座っていた

「あ、おかえり。」

「おかえり、結杏。」

「久しぶりに食堂に来たら、駆がいたから。」

「そうだったんだ。」

駆くんの前には大きな丼

神楽くんの前には大きなオムライスがあった。

本当に2人とも、何処にそんなに入るの…?

「結杏。
その肉巻きのやつ、食べていい?」

「ふふっいいよ。」

私の作ってきたものを美味しそうに食べてくれる人がいるのは、本当に嬉しい。

…その横にある卵焼きが焦げちゃってるのは内緒だけれど。

「俺ちょっと水貰ってくる」

「行ってらっしゃい。」

「…駆がこんなに気を許してる相手、僕は初めて見た。」

「えっ?」

ボソッと、小さく呟いた神楽くん。

「そうなの?」

「僕らがSpica のメンバーなことは知ってる?」

「うん。」

「…元々駆ってさ、僕らの総長の忠犬って異名が付くほど、それ以外の命令とかに従わないんだよね。
もう総長命っていうか。」

そう、なんだ…。

「僕は幼馴染だけど、例えメンバーでも心開かないんだよ。" 普通は "」



やけにその 普通は っていうのを強調したように聞こえたんだけど…

「…でも、君にはすっごいベッタリなんだよね。
一体何をしたの?」

ニヤッと、いたずらっ子のような笑みを浮かべた神楽くん

でもその目は笑ってなくて。

…駆くんが、大切なんだろうなぁ…。

何って言われても…

「神楽くんの想像しているようなことはしてないよ。
駆くんはいい人だから。
それに、そんな駆くんに信頼されてる神楽くんも。」

それに…

「駆くんを、神楽くんから取ったりしないよ。」

そういうと、神楽くんは無言になってしまう。

「神楽くん…?」

「…そっか。」

一瞬だけ見せた笑顔は、

本当に、幸せそうだった。

「神楽くんって、可愛いね。」

「はぁっ!?何言って…」

するとまた考え込んでしまう神楽くん。

どうしたんだろう…?

「…律。」

「えっ?」

「律、でいい…から。」

「いいの?」

「いいのっ!」

顔を真っ赤にしている律くんが可愛くて、思わずふふっと笑ってしまう

「なに、馬鹿にしてるっ!?」

「ううんっ
じゃあよろしくね、律くんっ」

「…ん。」

そのままオムライスをもぐもぐ…と頬張り始めた律くん。

仲良くなれた…のかな?

微笑ましくなりながら、私はまたお弁当を1口、頬張った。
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