『胡蝶の夢』に囚われて ― 夢か現か幻か ―
25  ◇引き剥がす計画を

 しかし、蓉子っていう女、付き合っている相手が既婚者であることは、バラして
こなかったわね。

 私の誘導ミスだわ、きっと。
 そう思いながら、さきほど送った自分からのDMを眺めた。

 う~ん──『相手が既婚者だからなかなか話が進まないの』って返しやすく
誘導は一応しているわよね。

 私は今回のDMでの遣り取りをする中で、もう密かに蓉子を夫から引き剥がす
計画を頭の中でざっとではあるが組み立てていた。

 今回の計画にちょうどうってつけの立役者がいた。
 夫の奥田貴史と不倫相手の橋本蓉子は同じ会社に勤めている。

 その同じ会社に学生時代の山倉美並がいたのだ。

 今回閃いて決めた計画──蓉子には夫をなんなく捨てて、いっぺんに
よろめくほどのイケメンを宛がうというミッション。

 これを思いついた時に、彼女の事を思い出したのだ。

          ◇ ◇ ◇ ◇


 私は結婚後──
出産、仕事復帰と忙しい日々を過ごす中で、すっかり彼女とは疎遠になっていた。

 そんなもう会うこともないと思っていた彼女と3年前? じゃなくてあれから2年半くらいか、
そうそう2年半前(2年と4か月ほど前)に神戸三宮の書店で偶然再会したのだった。

 私と会わずにいた間、彼女にはドラマチックな人生の展開があり、それが良い方なら
良かったのだが、展開は悪い方へと流れ彼女は仕事を辞めて途方に暮れていた。


──
 文世は、自分の父親の会社に縁故入社させてやるという慈悲深い情けをかけていた割に──
自身そんなことで恩を売るような性格でもなく、だからそんなことで買い物や自分の隙間時間に
つき合わせるとかということもなく、知らぬ間に山倉美並とは再度疎遠になりかけていた。──




 はて、その後結婚したと言う報告は受けていない。
 彼女が今も独身なら、ちょうどいい按配である。

 私は頃合いを見計らい──
近々、山倉美並に連絡を入れることに決めた。


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