離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
プロローグ――離婚まであと三ヶ月
それは、冬の厳しい寒さも終わりに差しかかろうとしていた、ある朝のことだった。
「これを書いておいてくれ」
いつものように自宅から冬月総合病院に出勤しようとしていた夫――冬月真裕が、思い出したように一枚の書類をテーブルに載せた。
彼の妻である遥はその書類を目にして表情を強張らせた。
「結婚してから今日でちょうど二年九ヶ月。この結婚生活もあと三ヶ月だろ。そろそろ準備しておこうかと思って」
そう語る彼は、ワイシャツの袖口のボタンを留めようと右の手首に目を落としている。遥の位置からその表情を窺い知ることはできない。
遥はおそるおそるその書類――離婚届を手にとった。
真裕の欄は、責任感の強い彼らしい角張った少し癖のある字ですでに埋められている。遥がこれに記入して役所に提出したら、二人はただの他人に戻ってしまうということだ。
遥は咄嗟に思ってしまう。
――どうして……
分かっている。これは予定された未来でしかない。それでも遥は疑問をいだかずにはいられなかった。
――だって、私たちの結婚生活は、うまくいっていたと思う……
「これを書いておいてくれ」
いつものように自宅から冬月総合病院に出勤しようとしていた夫――冬月真裕が、思い出したように一枚の書類をテーブルに載せた。
彼の妻である遥はその書類を目にして表情を強張らせた。
「結婚してから今日でちょうど二年九ヶ月。この結婚生活もあと三ヶ月だろ。そろそろ準備しておこうかと思って」
そう語る彼は、ワイシャツの袖口のボタンを留めようと右の手首に目を落としている。遥の位置からその表情を窺い知ることはできない。
遥はおそるおそるその書類――離婚届を手にとった。
真裕の欄は、責任感の強い彼らしい角張った少し癖のある字ですでに埋められている。遥がこれに記入して役所に提出したら、二人はただの他人に戻ってしまうということだ。
遥は咄嗟に思ってしまう。
――どうして……
分かっている。これは予定された未来でしかない。それでも遥は疑問をいだかずにはいられなかった。
――だって、私たちの結婚生活は、うまくいっていたと思う……