離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 母が入院するために祖母の家に引っ越してきたので、友だちがおらず、毎日とても退屈していること。

 そんなとりとめもないことを真裕は微笑みながら聞いてくれた。

「そうか。じゃあ病院に来たときは僕と遊ぼう。僕もよくこの病院に来ているから」

 遥はそれに「うん!」と頷いてから、眉を下げて首を傾げた。

「真裕くんのおうちの人も、病気なの?」
「ううん、違うよ。僕のお父さんがここの院長で、よく来てるんだ」
「そっかあ」

 それからは、祖母に母の見舞いに連れて行ってもらうたびに、病院で真裕の姿を探し、見つかると一緒に遊ぶようになった。

 真裕は遥が保育園で一緒に過ごしたことのある子どもたちよりも年上で、穏やかで優しかった。実際は遥と四歳しか変わらないのだが、その差がこの年頃ではきわめて大きく、とても大人っぽく見えた。だから、遥の中で彼が憧れのお兄ちゃんになるのにさして時間はかからなかった。

 けれど、しばらくして遥は病院に行けなくなってしまう。

 事が起きたのは真裕と知り合って一ヶ月ほどが経った頃だ。その日も遥は真裕と遊び、ご機嫌で母の病室に戻ってきた。
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