モノクロームの15センチ
第十二話
「でもですね。私にも家があるんです」
私は胸を張ってそういった。
―――本当は、胸を張って、帰れるような場所じゃないんだけれど。
でも、帰らなければ、私はきっと家なき子になってしまう。
「まあ、そうだねえ」
紺さんは、頭に何かぶつけられないと分かって、安心したのか、喋るペースが遅くなっている。
―――というか、いつのまにか紺さんがため口になっていたんですが?
これこそがグラデーション。
「・・・だから、もっと必死になって・・・」
でも、またふとよぎる。
一瞬思った。『この部屋の中なら、別にいいかな』って。
コレは多分・・・何だろう。
もしかして、心のどこかで分かっていた?
―――私に、らいらに、あの家に居場所はないのだと?
いても空気のような存在の私に、いる価値はないと。
それとも、ここが・・・ここが、居心地がいいと?
「・・・」
「・・・元気出して」
ハッとして、顔を上げる。
私の左手を、包み込むようにして紺さんが手を置いていた。
すぐさま、手を離す。
「・・・っ、・・・な、な、なんですか?」
明らかに動揺している私。
自分でも分かる。
今、平熱より五分上がってるって。
感情、昂ぶってるって。
私、人との関わり合いは避けてきたから、かなりこういうのに疎い。
ましてや男の子なんか、紺さんが接しやすかっただけで、よく分からない。
・・・・・・・・・・・・アタフタしていたとき、紺さんが赤くなって吐息を漏らしたことを、私は知らない。