眠れない夜は愛しい雛を抱いて
「で、俺は寝れるのか……?」

勿論、雛子からの返事はなく、火照る身体を持て余してしまう。

シャワーでも浴びて気分転換しようと思い、上半身を起こそうとすれば、彼女がそれを阻止するかのようにすぐに俺の腕に絡みついてくる。


「……雛子は俺をどうする気だ?」

愛しい恋人に悶絶しすぎて死亡した例は聞いたことはないが、もしかしたら今夜、俺がその第一号になる可能性はゼロじゃない。

「はぁあ……」

今夜はあといくつ、ため息を吐けば眠れるのだろう。

俺はなんとか脳裏に一匹目の雛を浮かべる。

(今夜、数える雛は一万羽超えそうだな……)


己の欲望と戦う、長い長い夜になりそうだ。

「おやすみ雛子。愛してる」

俺は雛子の唇にリップ音を立ててキスをすると、悶絶と苦悩の夜へと瞼を閉じた。


2026.7.23 遊野煌 


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