眠れない夜は愛しい雛を抱いて
俺はたまらず雛子をぎゅっとして、胸に閉じ込めた。

しかしながら、彼女の規則正しい寝息を前にしても、俺の下半身は今だに大変なことになっている。

(これは……キツイ……キツすぎる)

果たして俺は今夜、寝られるのだろうか。

かと言って眠ってしまった彼女を自分勝手に欲望のままに抱くのは違うし、そんな下劣な男にはなりたくない。

「はぁあああ……」

今年一番だと断言できる、深い底なし沼のようなため息が漏れた。

(次から、雛子は日本酒は禁止だな)

そしてハッとする。呑み始めの時に彼女が日本酒で酔っ払ったことがあると話していたのを今更ながら思い出す。

(あれは、フラグだったのか……)

(俺としたことが……)

俺はこめかみを抑えると、悔いるように軽く頭を振った。

(残りの酒は、さっさと料理に使うか、俺が呑み切ってしまおう)


もう一度あの色気たっぷりの雛子を見たい気持ちと彼女に押し倒されたい願望はあるが、こんな拷問は二度と耐えられない。

「……まさか、俺が……」

女性から押し倒される経験は生まれて初めてだった。
それも愛する恋人から酔って押し倒されるなど、男からしたら夢のような体験でしかない。


(貴重な経験だったな……)
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