隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「はい。終わったらすぐに、羽琉矢さんに会いに来ます」

 羽琉矢の落ち着いた表情に、結愛はホッとして返事をした。


 それから、着替えるために寝室へと連れてきてもらった。

 結愛は一人で部屋に入るなり、中の様子に目を丸くして立ち止まった。

 ベッドのシーツは真新しい物と取り替えられ、情事の後とは思えないほど、きちんと整えられていたからだ。おまけにベッドの上には洋服がたたんで置いてある。
 洋服は床に脱ぎ捨ててあっただろうから、羽琉矢が拾ってくれたのだろう。

 洗濯されたであろう下着もきちんとたたまれている。恥ずかしくて申し訳なかったが、それにしても、ベッドメーキングといい、洋服のたたみ方といい、御曹司とは思えない器用さだ。 
 一人暮らしだと言っていたから、ある程度は一人で出来る人なんだろう。

 普段はどんな生活をしているの? 羽琉矢さんのことをもっと知りたい。

 本音を言えば、もう少し一緒にいたかった。明日も会いたかった。その次だって。

 さほど遠くない所にいるから、お互いの都合さえつけばすぐに会いに行ける。けれど日にちを開けてしまったのは、冷却期間が欲しかったからだ。

 今でも身体の奥をチリチリと炙る、官能の灯を消してしまいたかったから。

 冷静な心と冷静な身体で会いたかった。そうしないと、どうしようもなく、溺れてしまいそうだった。
羽琉矢は寝室の外の壁に身を預けて考えていた。

 一週間も会えないなんて辛すぎる。結愛は平気なんだろうか? 
 明日にでも会いたいと思ってくれないのだろうか? 顔を見せるだけでもいいのに……ほんのひと欠片ほどでもいいから、自分のことを考えてくれないのだろうか?  

 もう一度、あのまま抱いてしまいたかったが、妙な情が湧いてしまい、聞き分けのいい恋人を演じる羽目になってしまった。その挙句が、一週間のおあずけだ。

< 115 / 120 >

この作品をシェア

pagetop