隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「お祖母様から話があったのは本当。会わせたい女性がいるって言われたけど」

「返事は?」

「すぐに断ったよ」

「何で、もったいない」

「もったいないって、お前さあ」

(他人事だと思って軽々しく言いやがって、こいつ)

 羽琉矢は明らかに面白がっている風な泰雅に、いつになく悪態をつきそうになるのを堪えて、心の中で舌打ちする。

「祖母様の紹介なら、申し分のない由緒正しき家柄なんだろうし。どこのお嬢様だった?」
 
「知らない。そんなものを聞く前に断ったからね」

「ふーん。話だけでも聞いてあげればよかったのに」

 泰雅は即座に断ってしまった取り付く島のない羽琉矢の態度に、ちょっとだけ祖母が気の毒になってしまった。

「どこの誰かなんて、そんなことを聞いてどうするの? 元からその気がないものを、聞くだけ無駄だよ」

「それはそうかもしれないけどな。会うだけ会ってみてもいいんじゃないの? 気に入らなければ断ればいいことだし、案外、羽琉矢のタイプだったりして……」

 そこまで言って泰雅は、はっとして口を噤んだ。

「……」

「……」

 何とも言えない空気が二人の間を漂う。お互い気詰りな雰囲気で視線を泳がせた。

「これが目的だったんだろうね」

 しばらくして羽琉矢が納得顔で呟いた。

 「ああ」

 泰雅に話をしたのはこんな風に、見合いでも、パーティーでも、出席するように誘導してほしかったからかもしれない。

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