隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「羽琉矢さん?」

 羽琉矢の理性と欲望とのせめぎ合いなど知らない、彼女ののんびりとした声。
 それが一層、気持ちを駆り立てる。

 頭を抱え込むようにして抱きしめると、結愛の首に顔をうずめる。いい匂いがする。自分を煽る甘い香り。
 うなじに唇をよせて紅い華を咲かせたら……白い肌に……とても映えるだろう。
 自分のものだと所有の証をつけて。
 それから……羽琉矢が首に口づけようとしたその時、

「ちょっ……と、痛いです。お願いです。離してください。羽琉矢さん、羽琉矢さん!」

 結愛は切羽詰まった声で叫ぶと、苦しそうに背中をたたく。

 その声に羽琉矢ははっと我に返った。

 衝動に駆られて手加減を忘れ、かなり強く抱きしめていたらしい。

「あっ……ごめん」

 羽琉矢はパッと腕を外した。 

 びっくりした。息が止まるかと思った。

 結愛は何度か深呼吸を繰り返した。

 かわいそうなことをしてしまった。力任せに抱きしめて、苦しい思いをさせた。
 息も絶え絶えに、荒い呼吸を繰り返す結愛の背中を軽くさする。

 羽琉矢の浅ましい欲望など知らず、彼の肩にもたれるようにして頭をつけ、無心に身体を委ねる結愛の姿に、さっきまでの情欲の熱が少しずつ冷めていく。

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