隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「うん。いい娘だね。そのまま、じっとしてて」

 羽琉矢は上半身を起こしたまま動かない結愛に、声をかけて、ゆっくりと体を起こした。

 目の前には結愛の顔があった。

 心の中では色々葛藤しているのだろう。

 目はとても正直だ。目を見れば大体の感情は読み取れる。  

 こんな状況は結愛にとっては初めてで、戸惑っているのだろう。早く帰りたいと思っているのかもしれない。 

 隙あらばと狙う人間はいくらでもいるのに。

 純な心はとても綺麗でとても崇高だ。

 かわいすぎる。

 羽琉矢は結愛を抱き寄せた。

 離したくないな。結愛はとても抱き心地がいい。

 華奢だとか柔らかいとか女性特有の外見だけではなく、心の中に清涼な空気が入り込んでくるみたいだった。自身の中に溜め込まれた負の感情を浄化してくれるような、清々しい感覚は初めてだった。
 こんな女性がいるなんて、出会えるなんて思いもしなかった。

 ふわっと桃の香りがする。

 自分のものだったらいいのに。 

 このまま押し倒して……結愛に思いっ切り噛みつきたい衝動に駆られる。自分のものにして、逃げられなくして……それから……一度思ってしまうと心は止められない。理性なんて吹き飛んでしまいそうだ。

 ふわりと桃の香り。

 結愛の匂い。

 離したくない。結愛が欲しい。結愛だけが……欲しい。

「結愛」

 熱でくぐもった声で名前を呼んで、それから強く抱きしめた。

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