隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
『待っている』

 言葉が詰まる。胸に何かがつかえて息が出来ない。それでも言わなければ。

「ごめんなさい」

 やっと絞り出した声は掠れていた。

「どうして? 僕のこと嫌いだから……会いたくないの?」

 違う、違う、違う。

 言葉にできなくて結愛は首を横に振る。

「だったら、また来て。僕に会いに来て」

 羽琉矢は結愛の手を握りしめる。触れられた手に熱が灯る。

「ごめんなさい」

「どうして?」

 羽琉矢は本心を探るように結愛の瞳を覗き込んだ。

「だって……」

 釣り合わない。

 平凡に育ったわたしとこれからたくさんの会社を引いていく羽琉矢さんとでは住む世界が違う。恋心を抱いて会って、それからどうするの?

「友達だったら? 結愛、友達になろう。それなら会ってくれるよね?」

 羽琉矢の言葉にクラリと眩暈がする。なお悪い。

「……無理です」

 結愛はやっと、言葉を押し出した。

「えっ!」

 何とか心を繋ぎとめておきたくて。会ってくれるだけでよかった。結愛と話をするだけで、顔を見るだけで。
    
 友達、それさえも拒絶されてしまったら……

 羽琉矢はショックを隠し切れない。

「だって……釣り合わない」

 気持ちが。

 羽琉矢さんは友達でいいかもしれないけれど、わたしは? わたしの気持ちは? 友達として、自分の気持ちを隠して会えるの? 

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