隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
 熱い。

 触れられたところから熱を発して、それが全身へと伝わっていくような、体の芯まで熱くなるような奇妙な感覚がした。

 ああ、ダメ。これ以上は……

「そらさないから、離して。お願い、羽琉矢さん」

 頬の心地よい感触は捨てがたかったが、請うように見つめられて羽琉矢は満足そうに目を細めた。

「離してあげるけど、僕の言うこと、ちゃんと聞いてね?」

 念を押すように言われて結愛は小さく頷いた。今は早く彼の手から逃れたかった。
 羽琉矢は結愛が同意したのを確かめると、名残惜しそうに頬からゆっくりと離した。

 手の感触がしなくなった頬は、熱もどこかへ消え去ってしまったように冷めてしまった。それはどことなく寂しさを感じさせたが、得体のしれないあの感覚がなくなって結愛はほっと息をついた。

「結愛、こっちを向いて」

 気が落ち着いたのも、つかの間、羽琉矢が結愛に声をかける。今度は顔をそらすわけにはいかない。

「ちゃんと見てくれたね。もう一度言うよ。僕は結愛が好きだよ。結愛の恋人になりたい。だから僕とつき合って欲しい」

 予想していたこととはいえ、結愛は言葉につまった
 本当ならば今すぐ羽琉矢の胸に飛び込んでいきたい。
 自分も同じ気持ちなのだと、素直に気持ちを伝えたい。伝えられたら……

「結愛。返事はしてくれないの?」

 固まったまま微動だにしない結愛に催促するように羽琉矢の声がかかった。

 逃げられない。今度こそ返事をしなければ。わかっている。わかっているのに。

 結愛はすぐには答えを見つけられず、ただ彼を見つめていた。

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