エリート社長の密かな純愛〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
パサリ、と軽い音を立てて私の目の前に置かれたのは、一枚の紙。
緑色の枠線に、大きく書かれた文字が嫌でも視界に飛び込んでくる。
───『婚姻届』。
「え……?」
あまりの急展開に、今度こそ私の思考は完全にストップした。
しかも、よく見ると、夫になるべき欄にはすでに綺麗な、見覚えのある達筆な文字ですべての項目が記入されている。
本籍も、氏名も、『冴島彗』と一寸の狂いもなく書き込まれていた。
「あ、あの、冴島社長……? これ、何ですか……?」
「見れば分かるだろ。婚姻届だ。俺の欄はすべて埋めてある。あとはお前が名前と必要事項を書くだけだ」
「なっ、何で今さっき妊娠を伝えたばかりなのに、こんなものがもう用意してあるんですか!?」
思わず叫んでしまった私を、社長は楽しげに、どこか捕食者のような冷徹な笑みを浮かべて見つめている。
「お前が俺の前から逃げ出す選択肢なんて、最初から作ってない。お前のお腹の子も、お前自身も、今日から全部俺のものだ。───ほら、さっさとここに名前を書け」
目の前の、かの有名なエリートと呼ばれる敏腕社長が、なぜこんな恐ろしいほどのスピード感で私を囲い込もうとしているのか。
ただの『一度きりの過ち』に対する責任にしては、あまりにも用意周到すぎる彼の罠に、この時の私はまだ、これっぽっちも気づいていなかった───