エリート社長の密かな純愛〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
「お、お待たせいたしました、冴島社長。ブラックコーヒーをお持ちしました」
これ以上ないほど緊張して、トレイからカップを差し出す私の手は微かに震えていた。
私は「また何か書類の不備で目をつけられて、怒られるんじゃないか」と、恐怖でパニック寸前だったのだ。
───けれど、社長はカップを手に取ることもせず、デスクに頬杖をついたまま、切れ長の目でじっと私の顔を見つめてきた。
「……森下。お前には、これがブラックに見えるのか?」
「えっ!? は、はい、間違いなく砂糖もミルクも入れておりませんが……!」
「……今日の俺は、砂糖3つの激甘な気分の気がするんだが」
────完全に予想外だった。
冷徹でシゴデキのエリート様だから、てっきりコーヒーはブラック派かと思い込んでいたが。
……まさかの、甘党だとは。
(心の奥底で"ちょっとかわいいかも"と思ってしまったことは死んでも口に出せない……)
「もっ、申し訳ございません……!! すぐに角砂糖をお持ちします!」
完全に怒られたと思い込み、頭が真っ白になった私は、慌ててその場から離れようと踵を返した。
───けれど、焦りすぎた私の足が、無情にもデスクの脚に引っかかる。