エリート社長の密かな純愛〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
「あ、っ……!?」
視界がぐにゃりと歪み、重力を失った身体がデスクの奥──社長の方へと倒れ込んだ。
直後、ガシャァン!と陶器が床で激しく砕ける甲高い音が、静まり返った社長室に響き渡る。
「……っ」
熱い液体が飛び散り、私の手から離れたカップの残りが、社長の仕立ての良い高級な白いワイシャツの胸元を容赦なく茶色く染め上げていった。
一瞬の静寂。
サァァァと、芯の底から心臓が凍りつく。
(終わった。私の会社人生、完全に終わった……っ!)
恐怖で血の気が引き、私は床にへたり込んだままガタガタと震えた。
社長の、それも何十万もするであろうオーダーメイドの高級シャツを汚してしまったのだ。
……クビどころか、いくら弁償させられるか分からない。
最悪の場合、小説やアニメのように、身体で払ってもらおうか─────なんて。
(本気でシャレにならない……!!)
「さ、冴島社長、本当に、本当に申し訳ありません……っ!」
涙目で床に頭を擦りつけるようにして謝る私を見下ろし、社長は低く、重いため息をついた。
ゆっくりと立ち上がり、濡れたシャツのボタンを上からひとつ、ふたつと外していく。
剥き出しになる引き締まった鎖骨と胸元の大人の色気に、私は焦りと気まずさで顔が爆発しそうだった。
なにも、目の前で脱がなくても──なんて、事の元凶者である私にはとても口に出来ない。