消防士は彼女の恋に火をつける
 マンションの階段を下りると、目の前の生活道を数人の消防隊員が走っていた。

「おはようございます!」
 元気な声であいさつされるが、私が「おはようございます」と返すころには走り去っている。消防署の前の道路からUターンしてまた走ってくる。

 走るときはいつもここをぐるぐるしている。集団のときもあればひとりのときもある。
 体力づくりも仕事のうちだけど、いつ出動がかかるかわからない。だから制服のまま近所を走るのかな。

 走っているうちのひとりと目が合った。彼がにこっと笑うから、私は会釈をしてその場を離れる。

 今日もかっこいい。

 アラサーとおぼしき彼はひときわ背が高くて、いつも目を引く。顏が整っているせいもあって、走る集団がいればつい彼を探してしまう。

 変な人って思われてないといいけど。
 心配しながら私は出勤した。
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