消防士は彼女の恋に火をつける
「たまのすけ~!」
 飼い主は半泣きで彼から猫を受け取り、ぎゅっと抱きしめる。心なしか猫も飼い主に抱き着いているように見える。

「ありがとうございます、朝からいなくなってずっと探してたんです。このお礼は必ず」
「いいんですよ。無事でよかったです」
 彼はなんてことないように答える。

「彼女さんも、ありがとうございました」
「にゃあ」
 女性がお礼を言うと、猫も一緒に鳴いた。

 彼女って……と思いながらもここで否定するのも、とお辞儀を返す。

 飼い主さんが帰る背を見送って、私は彼を見上げる。

「猫ちゃん、ありがとうございました」
「無事に助けられてよかったよ」
 そう笑う彼の顔は、やっぱり夜なのにまぶしい。

「勘違い、されちゃいましたね」
 照れ隠しにそう笑うと、彼は片手で髪をかき上げた。

「俺は……事実にしたいけど」
「え?」
 私は驚いて彼を見た。

「また連絡するから。よろしく」
 そうささやく彼のまなざしは甘くて。

「……はい」
 私の顔は、火事になったかと思うほどに熱くなっていた。



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