左は陽くん、右は蓮くん。

プロローグ

陽は手のひらにヘアミルクを広げ、クリーム色の髪になじませる。
指先で整えると鏡をひと目見た。
「まー、いっか」
大きくあくびをひとつ。


制服のネクタイを更に緩めると、そのまま玄関へ向かう。 大きな靴に足を入れ、つま先をトントンと鳴らす。
扉を開けた瞬間、朝の光が差し込み、陽は思わず片目を細めた。
「眩しー……」


頭の後ろで両手を組み、身体を揺らしながらゆっくり歩く。
陽は近所の小学生を見つけ、右手をヒラヒラと振った。
「おはよーぉ」
小学生が駆け寄ってきた。
「陽! でかー!」
「牛乳飲んだら、でかくなるかもねー」


やがて、莉央の家が見えてくると歩幅が大きくなった。
莉央の部屋の真下に移動する。息を大きく吸い込むと両手を口元に当てた。
「莉央ーっ!」
「すぐ行く!」


しばらく待つと、玄関の扉が開き陽の口元が緩む。
陽はオーバーサイズのカーディガンの袖から覗く指先をひらひら振った。
「おはよーぉ」
「おはよ!」
莉央の横に行くとしゃがみ込み、大きくあくびをした。
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