左は陽くん、右は蓮くん。

部屋にページをめくる音が定期的に響く。
蓮は本を片手に、文字を視線で追いかけた。
開きっぱなしの窓から優しい風が入り、黒髪が揺れた。
蓮はミラーレスカメラに手を伸ばす。


蓮が窓に視線を向けると、スズメがフチに止まりちゅんちゅんと鳴いている。
蓮はバッグから小さな紙袋を取り出し、手のひらにパンくずを出した。
ゆっくりと窓に近づき、手を伸ばす。
スズメは蓮の手に止まり、パンくずをついばんだ。
蓮は頬を緩め、視線を手のひらに移す。


スズメが飛び立った直後、首から下げたカメラを構える。
レンズ越しに景色を覗くと、シャッターを押した。
カメラを置き、学校のバッグを手に取る。
玄関で靴を履く。
扉を開けると、少し急ぎ足で歩き始めた。
桜の花びらがヒラヒラと落ちてきて、手を伸ばした先に莉央の家が見えた。
口角が少し上がる。


「蓮ーっ。おはよーぉ」
座っていた陽がゆっくりと立ち上がる。
「……二人ともおはよう」
「おはよ! 蓮!」
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