グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公

不幸のはじまり

グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係とは?
クレルとリーフェスト公

勝ち残った者のイストワールが歴史であり、負けた者、世に入れなかった者のイストワールが
物語なのではあるまいか(引用・詳細文末)
histoire イストワール

<不幸の始まり>

夏の終わり、秋の始まる前のこの時期は、雨が多い。

鈍色(にびいろ)の重い雲間から、細い糸のように、霧雨が落ちてくる。

冷たい雨の中、オーギュスト・サンサザール最高神官の葬儀は行われず、秘密裏にその亡骸は、神殿の墓地の一角に埋葬された。

突然の死去。就寝中に心臓発作を起こしたと、医師は言った。

立ち会ったのは、サンサザール神官の娘、クレルと神殿付属学校の副校長先生の二人だけ。

新しい墓標には、何も刻まれていないので、誰が眠っているのか知っているのはごく少数だ。

クレルは濡れている石畳にひざまずいて、父の好んだ黄色のガーベラの花を一輪、墓標に供えた。

すでに亡き母、ミルラの思いも込めて・・・

空を見上げると、鈍色の雲、その雲間からわずかに光がもれ、雨がもう少しで上がるようだ。

あの光とともに、父は天に召されたのだ・・・クレルの頬は涙と雨で濡れていた。
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