辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「トーリ・ラプハート」

 トーリのことをフルネームで呼ぶリュディアの声は低かった。トーリは、リュディアの前で頭を下げる。

「実はな、とある貴族の領地で雨が長いこと降っていないのだ。このまま夏を迎えると、領民が水不足に苦しむことになる。そなた、どうにかできないか」
「……え?」

 貴族達の前だというのに、間の抜けた声をあげてしまった。でもそれはしかたないと思う。
 だって、天気なんてトーリの能力の範(はん)疇(ちゅう)ではない。だが、背後からは「やはり無理か」「精霊と話ができるというのも嘘だろう」という声も聞こえてくる。

(陛下ってば、僕に無茶ぶりすぎない?)

 たしかにトーリの能力は、テイマーとしては多少珍しいかもしれないけれど、自然を相手にしてどうにかできるようなものではないはずだ。
 だが、リュディアはトーリの言葉に、まったく聞く耳を持っていなかった。

「ラウガルトを護衛につける。現地に赴き、解決せよ。原因を見つけるだけでもかまわん」
「……そんな」

 あまりにも無茶ぶりすぎて、トーリも困惑してしまった。もう一度断ろうとしたけれど、背後からの声がそれを中断させた。

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