辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「陛下への忠誠心を示すぐらいはしてみせろ」
「そうだ、現時点で何の役にも立っていないのだからな」

 言われてみればその通りだ。開拓村を含むわずかな領地を土産に帝国に押しかけて来ただけだ。

(もし、ここで役に立つって証明できなかったら……)

 不意に、嫌な予感がトーリに襲いかかってきた。リュディアがトーリを受け入れたのは、トーリがリュディアの『役に立つ』からである。実際、トーリはそうやって自分自身をリュディアに売り込んだ。

(もし、役に立たなかったら……)

 トーリの居場所は、なくなってしまうのだろうか。
 自分でも気づいていなかったけれど、今まで優しくしてきた辺境伯家の人々が、トーリのスキルを知ったとたん手のひらを返してきたことは、トーリにとって深い心の傷になっていた。

「……わかりました、陛下。行ってまいります」

 そう答えた声が震えてはいなかっただろうか。けれど、リュディアはトーリの返事に目を細めてうなずいただけだった。
 出発の支度は迅速に終えられた。
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