辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 だが、何者かがこの祠を壊してしまった。そして、地域の住民は誰も祠を修繕することなく、お参りをすることもなくなった。
 つまり、暗黙の了解で成り立っていた関係が崩れてしまったということになる。

「だから、雨が降らないの?」

『そうだ。それに、精霊達も怒ったり悲しんだりしているからな……それで、植物の元気がなくなっている。この分だと、この地からはどんどん精霊がいなくなるぞ』

 水の精霊は、この地を長い間住処とし、この地域で暮らす人々の暮らしを見守ってきたそうだ。だから、祠が壊されてもすぐにこの地を去ることはなかった。

(……そうか、そういう形での絆もあるんだな)

 きっと、長い間にだんだんと言い伝えが失われていったのだろう。トーリは、崩れた祠を見つめた。もし、トーリから誓約を結んでいる仲間達がいなくなったのなら。

(きっと、水の精霊さんも、寂しいんだろうな……)

 寂しいけれど、この地を去れない。そこにキヴィが来たから、自分の気持ちを人間に伝える決意をしたのだろう。

「ねえ、もし祠を直したら精霊達は戻ってきてくれるかな?」

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